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「さぁそれはどうでしょう。
あいつが一人で出歩けば必ずと言っていい程不逞浪士に目をつけられる。
副長の狙いはのこのこ現れたそいつらの捕縛。」
「あんなお嬢ちゃんでも使えるモンは使うってか。
まぁ副長らしいっちゃ副長らしいわな…。
よっしゃ俺はお嬢ちゃんとこでお茶飲もっと!」
『まぁどこまでが本心か分からんがな。』眉心紋消除
三津が甘味屋に帰ってからも護衛をつけると土方は言った。
見回りの順路にも甘味屋の近くの通りを組み込んだ。
それはあわよくば,三津から新選組の情報を得ようと近付く不逞浪士捕縛の為。
また三津を囮にするような内容を語ったのだが,単に土方が離れていても三津の全てを把握したいだけとしか思えなかった。
そんな事を考えながら三津の元へ足取り軽く駆け寄って行く山崎の後ろ姿をじっと見つめた。
「お嬢さんお茶を一杯!」
人懐っこい笑みを浮かべながら表の長椅子にどっかり腰を下ろした。
「あれっ?斎藤さんのお友達の!」
「覚えててくれはったん?いやぁ嬉しいわぁ!」
大袈裟に喜んで馴れ馴れしく三津の手を握って上下にぶんぶん振った。
「薬売りやったんですか。」
前会った時は違ったような気がする。
首を傾げながら背中にしょった籠と薬の幟をしげしげと見つめた。
「せやから前に足に塗った薬良く効いたやろ?」
山崎が得意げに笑うと三津もそう言えばそうだと,ポンと手をついた。
それからあの時はありがとうございましたと頭を下げた。山崎の正体も知らずに三津はにこにこと笑う。
『あいつに警戒心と言うものは無いのか…。いや,一応あの人が客だからか…。』
それが仕事とはいえ,三津が誰にでも愛想良くしているのを見て土方や沖田がどう思うのか。
斎藤はそこが気になって仕方ない。
「ほんでお嬢ちゃんは新選組のお女中さんやなかったんかいな?」
山崎は周りの目を気にしながら小声で三津に問いかけた。
「それが私の寝言が煩くて土方さんが寝不足になってもて。
それで十日ほど帰れって追い出されたんです。
寝言を言わんくなる薬とかないんですか?」
三津はお恥ずかしいと照れ笑いをしながら小首を傾げた。
「それやったらいい方法があるわ!」
力強い言葉に好奇心を掻き立てられた。
山崎にちょいちょいと手招きされて顔を寄せる。
「俺が添い寝したるわ。勿論腕枕でな。そしたら安心してぐっすり眠れて寝言なんか言わんで。」
ぐっと顔を寄せて,目を細め,口は弧を描いて色男を演じてみせた。
格好良く口説いたつもり。三津が照れて顔を真っ赤にするのを期待した。
「やっぱり斎藤さんの友達や!面白い事言わはる!」
思い切り笑われた。
面白い事を言ったつもりはない。
「何や添い寝はお断りか?」
と言ってみても,毎日家に来てくれる?だとか屯所に帰っても壬生まで来るの?だとか。
屯所だと土方と川の字で寝なきゃねと悪戯っぽく笑うだけ。
「ホンマに行くかもしらんで?後は恋煩いに効く薬もあるから何かあったら言ってな。
ほな仕事に戻りますわ!」
おどけて見せてから,名残惜しいけどと手を振って軽快に走り去った。
「三津,今の人は?」
随分親しげにしていたのが気になってトキが顔を出した。
「斎藤さんのお友達。あ,おばちゃん宗の所行って来ていい?」
「かまへんよ,行っておいで。」
その言葉に満面の笑みを浮かべ,たすき掛けに前掛けのままで出掛けて行った。
三津が店を出たのに合わせて斎藤も腰を上げた。
『多分あいつの所に行くんだろうなぁ…。』
斎藤にとっては苦手とも言える相手。
前回三津を尾行をした時,簡単に存在に気付かれた苦い思い出が蘇る。
だがそんな事が二度も起こるはずもない。
だって自分は新選組の斎藤一だから。
今度こそバレずに三津を見張ってやると密かに意気込んだ。
をふった。
「万事そつなくされるあなたでも、これをきけばどうしても態度や表情にでてしまいます」
いまの俊冬の言葉は、どういう意味だ?
「なるほど。いまから会う面子の中にいるってことだな」
「さすがは副長。申し訳ありません。これだけでも、あなたはこの後の宴で意識をそれにとられてしまいます。眉心紋消除 頭ではわかってはいらっしゃるでしょうけど……」
「自然にふるまえ、というわけだな」
「はい。同道は、わたしだけいたします。黒幕どもは、おれの腕はさきの剣術大会や噂で十二分にわかっています。下手なことはしないはず。ですが、万が一ということもあります。いざとなれば、あなたをお姫様抱っこして逃げます。そうなれば、他に同道者がいないほうがいいですから」
「くそっ!なにゆえだ?」
副長がこちらをみてきた。
ってか、お姫様抱っこ?
その一語がインパクト強すぎだ。
「なにゆえ、お姫様抱っこだ?せめて、おんぶにしてくれ」
「いや、そこかいっ!」
おれも同様にお姫様抱っこに喰いついたくせに、副長にツッコんでしまった。
「申し訳ありません。つい、ツッコんでしまいました。マジなところ、さすがに土方歳三が味方に狙われていたとか味方に殺されたという史実は、公にはありません。噂っぽい感じではちらほら見受けられますが。それも、後世の創作とか伝える人たちの思い込みの要素があります。その上での話です」
一言添えてからつづける。
「副長は、最後まで交戦派であった。だから、それがうざかった。もちろん、降参したがっている人物たちにとっては、という意味です。だから、副長をどうにかしようと目論み、実行に移した。さきの箱館山の地雷火だけのことではありません。降参したがっている人物たちは、敵の仕業に見立てて味方に損害を負わせ、物理的にも精神的にも負け戦になるであろうことを見せかけ、思い込ませたいのでしょう」
「おいおい。おれは、一度だって『最後まで戦い抜くぞ』とか『一兵卒になるまで意地を貫くぞ』、などといったことはない。それどころか、『どうせ負けるんだ。今後のためにも、控えめに戦おう』って遠まわしにいっているくらいだ。それをなんだ?だれもそれをわかっちゃいないのか?気がつかない馬鹿ぞろいだっていうのか?」
副長は、呆れかえっている。「よくも悪くも新撰組の「鬼の副長」であることが、だれにでも好戦的なイメージ、もとい印象をあたえているんでしょう」
「くそっ!これは、か?」
「それは、関係ないと思うがな」
とんだ見当ちがいなことをいった副長に、冷静にツッコむ安富はさすがである。
「うわあ、副長って嫌われているんだ」
「そうだよね。殺したいって思うほど嫌われているって、ファックでシットだよね」
しかも、市村と田村もまったく見当ちがいなことをいっている。
あっ、これはまったくの見当ちがいじゃないか。
隣で伊庭がふきだした。
島田らも苦笑している。
「主計っ、てめぇっ!」
そして副長はいつも通り、さもおれが発言したかのように理不尽に怒鳴ってきた。
「まぁまぁ、土方さん。あんたも自身が好かれているとは思ってはいないだろうが?もっとも、だから」
「なんだと、勘吾っ!」
「と、主計の心の声がだだもれだ」
「主計っ!」
またしても、蟻通のマイブームの炸裂である。
「そんなこと、思うわけがないですよ。そりゃぁ、BL的で受けとは確信していますけど」
「主計っ、てめぇっ!てめぇが死んじまえっ」
なんと。これが現代なら、ソッコーで大炎上する発言である。もちろん、いまのはおれが発言したのでも心の声がだだもれしたのでもない。
俊冬がおれの声真似をしたのである。
「ってかたま、おれの声真似をするなよ」
まったくもう。こんなマジな状況でおちゃらけまくるなんて。
「きみの影響だよ」
「はあ?」
俊冬の謎断言の意味がわからない。
「関西人の影響だよ。だから、どれだけマジな状況でも和ませなきゃって錯覚を起こしてしまうんだ」
「ちょっと待てよ。たしかに、関西人は周囲に影響をおよぼすことはある。だが、それは言葉だ。関西弁をうつしてしまう。行動や性格まで影響をあたえることはない。まあ、愉しく思わせたり和ませたりという影響はあたえることはあるけど。兎に角、自分がそうしなきゃってサービス精神を発揮させるほどの影響力はない」
「主計。きみは思わなくっても、ほかのみんなは思っているんだよ。というわけで、副長。そろそろ時間です。参りましょう」
思わずガクッときてしまった。
俊冬のやつ、さすがは「わが道爆走王」である。
とっとと切り替えるところなどは、さすがとしか言いようがない。
そして、イケメンズは宴の会場場所である「武蔵野楼」へと向かった。